「頑張ればできる」が当てはまらない

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溶接ラインのお仕事

発達 斉藤さん(仮名) 【ADHD・LD】

活用した支援制度・機関

愛知障害者職業センター ジョブコーチ 合同企業面接会
ハローワーク 障害者就業・生活相談センター

進まぬ障がいへの理解

これは、周囲の理解が進んでいないケースです。斉藤さんは、ハローワーク主催の障害者合同面接会で内定を獲得し、現在溶接ライン作業の仕事に就いており、愛知県障害者職業センターから提供される、ジョブコーチ(職場適応援助者)制度を活用しています。

作業手順などを覚えるのに時間がかかるため、入社時にはそのことを職場の皆さんに伝えておきました。適切な配慮を受けるための準備でしたが、入社から時間が経つにつれ、一般の従業員と同じレベルの仕事を求められるようになりつつあります。斉藤さんも周囲と同じノルマを達成しようと努力していますが、障がいのために難しい状況であり、「自分の場合は、外見ではわかりにくいため、できると勘違されたり、怠けていると言われてしまうことが一番辛い」と悩んでいます。


32歳からの再出発

32歳の時に、家族に指摘され病院を受診し、学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されました。直後は不安との戦いでしたが、自分を知るために自身の障がいを調べ始めました。同時に、仕事を続けられるよう生活リズムを整え、継続して作業に集中するためのトレーニングも始めました。「得意なこと」「できること」「苦手なこと」「助けがあればできること」を書き出して、明確にすることに取り組みました。これは、自分に合った職種や働き方を考える基になったといいます。

また、働き続けるため、ストレス反応など心身の「黄信号」を知ること、限界になる前に早めに対処すること、そしてその方法を増やすことを意識しています。

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やる気はあり努力もしている
それでも「できないこと」があるという事実

入社当時から「障がい者でも会社に入れば、求められることは同じ」と言う斉藤さんは、「できていない」と指摘されたスピードの改善に取り組んでいます。しかし、ジョブコーチの指導を受けても、思うようにスピードアップが図れません。斉藤さんには、同時並行作業ができないなどの特性が存在するためです。「できないことを理解してもらいたい、できたとしても限界まで負担がかかっていることを認めてほしい」と訴えます。

このケースの本質は、斉藤さんの発達障がいの特性を企業側が充分に理解しようとしていないところにあるのではないでしょうか。

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「見えないからこその苦しみ」をほぐす、企業にできること

発達障がいは、外見ではできないことが分からず、怠けていると誤解され、理解や配慮を得られにくい障がいです。また、できないことを伝えても、人事担当から現場で一緒に働く上司や同僚に、その情報が上手く伝わってないケースも見られます。発達障がい者が安心して働くためには、周りの人が障がいについて知ることが大切です。斉藤さんは、「このままだと障がいへの理解が得られないのではないか」と心配しています。

このような事態を防ぐために、当事者ができるのは「できること」「できないこと」を的確に伝えることです。企業や現場担当者に求められるのは、「努力してもできないことがある」という情報を周囲の人達に正しく伝え共有することと、それをカバーするための工夫を行うこと。例えばマニュアルを作ったり目印をつけるといった簡単な事で構わないので、ジョブコーチなどを活用し、障がい特性を補う方法を見つけ実践する必要があります。そして何よりも「できること」が活きる業務に充てることが大変重要です。



溶接ラインのお仕事

所在地 三河エリア
従業員数 非公開