1人の従業員としてのあるべき姿

トヨタループス株式会社

精神 加納さん 【統合失調症】

障がいがある以上、何らかの配慮は必要です。しかし、その前に1人の従業員として、あるべき姿があるはずです。ごく当たり前の姿にいかに近づくか。そのための「配慮」はどのようなものでしょうか。そのためのヒントがありました。

活用した支援制度・機関

ハローワーク 障害者就労移行支援事業所

緊張感ある工程も、複数作業もお任せ。

入社3年目の加納さんの仕事は、オンデマンド印刷の原稿データ処理。最初の工程となるため、この段階でミスが発生すると初めから全てやり直しになってしまいます。そのため、校正担当者ともコミュニケーションを取りながら、緊張感を持って仕事に取り組んでいます。

入社当時は、1枚の印刷物に様々な工程がある事に驚いたという加納さんですが、現在では仕事を任され、3ヶ月前からは原稿データ処理の他に製版業務にも取り組む程になりました。

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ほぼ症状は無し。秘訣は大好きな「服」

20歳の時に統合失調症と診断され、大学を中退。しかし、治療の一環でもう一度入学し直し、見事卒業しました。現在、症状は殆ど見られず、良い状態を保っています。「学生生活や卒業後のバイトなどの経験が、今の安定した職業生活に繋がっている」と加納さんは振り返ります。

安定を保つポイントは、「疲れを溜めないこと」と「考え過ぎないこと」。あれこれ考えて過ぎてしまうと障がいにも悪い影響があるといいます。気分転換の方法は休日のショッピング。大好きな服を見に名古屋の中心部に出かけています。服好きは「毎週必ず出かけないと体調不良になる」と支援員さんにツッコまれる程ですが、それが共通の話題にもなっており、さらにリラックスに繋がっています。

一つのことを積み上げていくほうが自分にあっていると自己分析する加納さん。まずは3ヶ月前から取り組んでいるCTP製版業務をしっかり自分のものにしたいと話します。その上で印刷のことをもっと学び、「”印刷ができる人”として1人前になれれば」と、さらなる積み上げを目指しています。


採用段階から、「特別扱い」でなく「配慮」するのが大事

管理部 支援員 社会福祉士 鳥巣さん

トヨタループスでは採用の際、仕事とのマッチングを重視しています。こればかりは実際に働いてみないと分かりません。そこでトライアル雇用などを利用し、一人ひとりの特性に合った職場配置を実現させています。本人の障がいに対する受容度も大切なポイントです。面談などを行い、必要な支援を確認しています。

入社後は支援員が中心になってサポートします。心掛けているのは、障がいの有無に関わらず「いかに普通に働くか」という事。「障がい者といって特別扱いせず”配慮”する。まずは一人の従業員、社会人としての対応をしていく」そうです。

そのポリシーが表れるのはこんな時。支援員のサポートは、支援機関との連携・臨床心理士とのカウンセリングの調整・会議の開催や職場の巡回など多種多様。しかし仕事に支障が出ない限りはプライベートには立ち入りません。休憩時間の雑談も社員同士対等な立場で楽しむなど、様々な場面で特別扱いでなく「配慮」にとどめる姿勢が、定着の秘訣なのでしょうか。

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初めの「どうかな?」という不安も着実な成長が払拭してくれた。

業務部印刷課印刷係 係長 沢田さん

原稿処理は確実性が求められる仕事。当初、せっかちで先へ先へ急ぐ加納さんに、上司の沢田さんは「どうかな?」と不安だったそうです。ところが加納さんは、1つ教えれば確実に自分の物にして、仕事に反映させていきました。着実に成長する加納さんに、今では安心して任せられると沢田さんは話します。「これからは指導できる立場になってほしい。それぞれ違うその人にあった指導をするには、様々な経験が必要。これから積み上げてほしい」と会社の期待も高まっています。

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トヨタループス株式会社 「トヨタ自動車株式会社」設立の「特例子会社」

所在地 愛知県豊田市トヨタ町15番地1
従業員数 160名(知的51名、身体41名、精神26名)
事業内容 印刷業務
郵便物の受発信

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