実習を通じ、互いを知り、不安を解消する

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株式会社 ブロンコビリー

発達・精神 富田さん 【アスペルガー症候群】

活用した支援制度・機関

ハローワーク 職場実習制度 就労移行支援事業所

特性を活かせば、障がい者も活躍できる

アスペルガー症候群と不安神経症をもつ富田さんの仕事は、ステーキレストランの厨房での皿洗いと納品されてくる食材などのチェックです。どちらも店舗運営の土台となる大切な仕事です。

アスペルガー症候群とは、得意な分野では一般の人と同様かそれ以上の能力を発揮できます。その反面、空気を読めず人間関係に問題を抱えやすいなどの特性を持つ、発達障がいの1つです。富田さんの場合、苦手なのは「複数の仕事の同時進行・複数の指示の理解」「威圧的な態度」「雑音の中の必要な声や音の聞き分け」です。得意なことは「繰り返し作業」と「物の制作」です。自身でも、障がいの特性を認識していて、厨房の仕事も特性を考えた選択でした。お店からも「お皿も割らないし、食材も丁寧に扱う。与えられた仕事を“そつなく”こなしてくれる」と合格点をもらっています。


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二次障がいの不安神経症

富田さんは大学卒業後、一般枠(障がいを非開示)で合同企業面接会に参加し就職しました。仕方がない事ですが配慮を得られず、アスペルガー症候群の特性による失敗を引きずり、不安神経症を悪化させる悪循環に陥ってしまったこともありました。

不安神経症は、はっきりした理由もなく漠然とした不安がいつまでも続く病気です。富田さんの場合、将来のことが不安で仕方なくなってしまうことがよくありました。しかし今では、不安が小さいうちにその思考をやめることができるようになり、病状も安定しています。

その他には、読書することが心の癒しと安定に繋がっています。本の中にあった「心配していることの99%は起こらない」という言葉を反芻することで不安を払しょくすることができているといいます。


自分の弱点に気づく場所との出会いと企業も障がい者も活用すべき職場実習

初めは一般枠の面接会などで就職活動していましたが、上手くいきませんでした。そこで富田さんが参加したのが、愛知県の就労支援セミナーでした。セミナーでは、「急ぐ余り指示を聞き逃してしまう」「端的に話せばうまく伝わる」などの具体的なアドバイスを受け、就労の準備を重ねました。

その後の就職活動で、就労移行支援事業を通じて、ブロンコビリーの紹介をうけ、職場実習を行いました。職場実習制度は、障がい者が現場で体験に働いてみるハローワークの制度で、企業も働きぶりや人柄を見ることができ、入社後のミスマッチングを防止できます。富田さんの職場実習の結果は双方が好印象で、見事に内定を獲得しました。

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不安を消す実直さ。 理想の職場を生む、障がい者雇用の「相乗効果」

株式会社ブロンコビリー エリアマネージャー 大竹さん

今回初めて、障がい者の採用を担当した大竹さん。やはり当初は「本当に働けるのかな」と不安でした。しかし実習の様子を見て問題ないと感じたそうです。一般のアルバイトの採用でも、ルールを破ったり、物が壊れたりする事もある中、富田さんには「そういう事がほとんど無い」のが採用の理由です。「最初は早く出来なくても丁寧にやって欲しい。その点、彼は全部クリアできていた」と実習を好意的に振り返ります。

富田さんを迎えるための準備について、大竹さんは「障がい者を雇うと伝えた」ことと「整理整頓」と話します。どちらも簡単な事ですが、とても意義のある配慮です。現場への周知は、不要な偏見や混乱を防ぎ障がいへの理解を促します。整理整頓は、物の配置や使ったら戻すことだけでなく、業務フローを見直し、整理することで、障がい者に限らず、誰もが効率よく安全に働ける職場をつくります。「もともと出来てなかった所にいい相乗効果」と大竹さんは謙遜しますが、これこそ障がい者雇用の本当の利点ではないでしょうか。


株式会社 ブロンコビリー

所在地 愛知県名古屋市名東区平和が丘一丁目75番地
従業員数 274人   うち障害者 12人
事業内容 ステーキ、ハンバーグのレストラン事業